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登録に使ったサービスが無くなったとき ​

アーキビスト向けの覚え書き。2026-09-26 の下書きで、まだ誰にも確認していません。

ひとことで ​

Clio-X では、登録した資料は、登録に使ったサービス(「ノード」と呼びます)に結び付いたままになります。 そのサービスが無くなると、何も消していないのに、資料はどの目録にも出なくなります。

私たちに起きたこと ​

2026 年 8 月 10 日〜13 日に、Clio-X の試用ネットワークへ試験用の資料を 29 件登録しました。 登録には、自分たちで動かしていたサービスを 2 つ使いました。1 つはノート PC、もう 1 つは借りていたクラウドのサーバです。

2026 年 9 月 5 日、費用を減らすためにクラウドのサーバを閉じました。 9 月 26 日、大学のサーバに新しいサービスを建て、Clio-X の目録をそちらにつなぎました。 29 件は 1 件も表示されませんでした。

ファイルそのものは失われていません。保管した場所に今もあります。 失ったのは入口です。目録は資料の説明を読めなくなり、Clio-X を通してファイルを請求することもできなくなりました。

なぜ起きたか ​

資料を登録すると、サービスはその説明とファイルの所在を封印します。 公開の台帳(ブロックチェーン)には、封印したものと一緒に、封印したサービスの住所が残ります。

目録が資料を表示するには、その住所に開封を頼む必要があります。ほかのサービスには頼みません。 古い 2 つの住所はもう応答しないので、資料は封印されたままです。

アーカイブにたとえると。 ある登記所が、自分の暗号で目録カードを書いたとします。 カードは公開の棚にずっと置かれ、どの登記所が書いたかも記されています。 登記所が閉じると、カードは棚に残っていても、誰にも読めません。

たとえが当てはまらないところ。 クラウドのサービスの鍵は、手元に残っていました。新しいサービスも同じ鍵を使っています。 それでも役に立ちませんでした。目録が頼みに行くのは鍵の持ち主ではなく、記録された住所だからです。 古い住所は、1 台の機械に付いた番号(16.192.66.21)でした。借りるのをやめた時点で、その番号は無くなりました。 もし records.example.org のような、自分たちが管理する名前にしていれば、その名前を新しいサービスに向け直せました。 その場合、29 件のうち 16 件は戻ったと考えています(ソフトウェアの作りを読んだうえでの推定で、試してはいません)。

失われていないもの ​

  • 資料が存在すること、誰が持っているか、どんな変更や請求があったかは、台帳に残っています。この履歴は消せません。
  • ファイルは、機関が保管した場所にあります。

登録を始める前に、機関として決めておくこと ​

  1. 機関が長く管理できるウェブの住所で登録する。 機械の番号ではなく、名前を使います。名前なら、新しい機械へ移せます。
  2. サービスの鍵を、機関の安全な保管場所に置く。 住所と鍵は両方そろって初めて役に立ちます。片方だけでは足りません。
  3. サービスを閉じる前に、そこから登録した資料を一覧にする。 1 件ずつ、移す(別の場所で登録し直す)か、意図して公開を終えるかを決めます。
  4. 資料の説明の控えを、Clio-X の外に持つ。 Clio-X は資料を共有する場所で、保存用の控えではありません。
  5. サービスを他の組織に運営してもらう場合(たとえば Pontus-X の加盟組織)は、そのサービスが閉じたら資料がどうなるかを確かめておく。

Clio-X への問い ​

  • 加盟する機関に、上の 1 と 2 を求めるべきか。
  • サービスの間で資料を移す手段を、Clio-X が用意すべきか。
  • Clio-X 上の資料の「保管者」を、たまたま使ったサービスではなく、機関そのものにできないか。

中村 覚(東京大学、UBC 滞在中)による個人の記録です。Clio-X や Ocean Protocol の公式サイトではありません。