Skip to content

用語をアーカイブズの言葉で ​

Clio-X の用語の多くはブロックチェーンやデータ工学から来ています。けれども、その中身の多くは、アーカイブズが昔から行ってきたこと(登録する、記述する、利用を管理する、履歴を残す)です。

何かをクリックする前に

  • 見て回る、検索する、資産のページを読む。これらにウォレットは要らず、何も変わりません。
  • ウォレットを接続しても、サイトに伝わるのはアカウントのアドレスだけです。お金が動いたり、何かに署名したりはしません。
  • 台帳に書き込む操作は、必ず先にウォレットの確認画面が開きます。いつでも「拒否」を押せます。

入口

ウォレット

あなたのアカウントを保管し、あなたに代わって操作に署名するソフトウェア。

画面での表示
ウォレット接続0x1234…abcd
ふだんの言葉で
ウォレット(たとえばブラウザ拡張の MetaMask)は、アカウントの秘密鍵を保管します。サイトがその鍵を見ることはありません。同意が必要な操作があると、ウォレットが自分の画面を開いて確認を求めます。
アーカイブズの言葉で
閲覧者カードと署名を合わせたもの。カードで窓口に本人であることを示し、署名で請求票の一枚一枚を認めます。
比喩が当てはまらない点
再発行ができません。復元用のフレーズをなくせばアカウントは失われ、他人に知られればその人があなたになります。どのウェブサイトにも入力しないでください。
触っても大丈夫?
接続は安全です。サイトが知るのはアドレスだけです。注意して読むべきなのは、署名の画面です。

ネットワーク

サイトがどの共有台帳を読み書きしているか。

画面での表示
Pontus-XSepolia
ふだんの言葉で
Clio-X は Pontus-X 上で動いています。Gaia-X のデータスペースの参加者向けに運用されているネットワークです。Sepolia などのテスト用ネットワークも同じ仕組みで動きますが、そこでのトークンには金銭的な価値がありません。
アーカイブズの言葉で
どの機関の登録簿に記入するか。テスト用ネットワークは、研修用に用意された練習用の登録簿です。
比喩が当てはまらない点
ネットワークが違えば、登録簿は互いに見えません。テスト用ネットワークで公開した資産は、Pontus-X には存在しません。
触っても大丈夫?
試すならテスト用ネットワークが適しています。そこでは何をしても実際のお金はかかりません。

トランザクション

署名され、台帳に恒久的に書き込まれる記入。

画面での表示
ウォレットの確認画面
ふだんの言葉で
公開する、編集する、利用権を得る、計算ジョブを始める。これらはすべてトランザクションです。一つずつウォレットで署名し、少額のネットワーク手数料がかかることがあります。
アーカイブズの言葉で
受入簿や貸出簿への署名入りの記入。受領番号が付き、後から誰でも照会できます。
比喩が当てはまらない点
記入を消したり、その場で訂正したりはできません。誤りは、それを上書きする新しい記入で正します。どちらも見える状態で残ります。
触っても大丈夫?
何かが起きる前に、署名する内容がウォレットに表示されます。拒否しても費用はかかりません。

記述と登録

資産(アセット)

Clio-X のカタログに公開されたもの。データセット、アルゴリズム、サービスのいずれか。

画面での表示
資産関連する資産
ふだんの言葉で
資産とは、カタログの一項目と、その利用の決まりを合わせたものです。ファイル自体は公開者の手元に残ります。カタログが持つのは記述と、誰がどんな条件で利用できるかです。
アーカイブズの言葉で
目録に記述された一単位と、その利用条件。記述は公開され、資料そのものは保管機関に残ります。
比喩が当てはまらない点
この語は金融から来ていて、財産や価値を連想させます。Clio-X では「公開された一件」という意味しかなく、内容の所有権や価値については何も言っていません。
触っても大丈夫?
資産を見て回るだけなら、読むだけの操作です。

DID

資産の恒久的な識別子。

画面での表示
DIDdid:op:…
ふだんの言葉で
DID は Decentralized Identifier(分散型識別子)の略です。Clio-X では did:op: に長い文字列が続く形をしていて、公開後に変わることはありません。
アーカイブズの言葉で
請求記号や、ARK・DOI のような永続識別子。引用の際に頼れるもの。
比喩が当てはまらない点
どの機関も付与しません。ネットワークと資産の登録から計算で決まるので、問題が起きたときに問い合わせる登録機関がありません。
触っても大丈夫?
DID をコピーして共有しても問題はありません。公開されている記述を指すだけです。
InterPARES の定義
identifier

所有者

資産の記述と利用条件を管理するアカウント。

画面での表示
所有者
ふだんの言葉で
所有者は、メタデータの編集、価格の変更、利用の一時停止ができます。「データ作成者」とは別に表示されます。データ作成者は、公開者が入力した名前にすぎません。
アーカイブズの言葉で
資料の保管者(カストディアン)であり、作成者とは区別されるもの。「データ作成者」のほうが、出所の記述における作成者に近いものです。
比喩が当てはまらない点
管理権は機関ではなく、アカウントを持つ人にあります。保管の移転はアカウントの登録を移すことで起こり、その裏に寄贈契約のような文書はありません。
触っても大丈夫?
資産を変更できるのは所有者のウォレットだけです。訪れた人が何かを変えることはできません。
InterPARES の定義
provenance

資産の状態

その資産がいま利用できるかどうか。

画面での表示
資産の状態
ふだんの言葉で
「有効」の資産は利用できます。それ以外に、提供終了・非推奨・取り消し・注文停止・非表示があります。この表示は、資産が有効でないときにだけ現れます。
アーカイブズの言葉で
目録に注記される「利用停止」「非公開」「後継資料あり」などの利用状況。
比喩が当てはまらない点
状態を変えても何も削除されません。以前の記述とその履歴は台帳に残ります。
触っても大丈夫?
表示のみです。

メタデータの更新履歴

資産の記述が公開された各版と、その日付。

画面での表示
メタデータの更新履歴
ふだんの言葉で
所有者が記述を編集するたびに、その変更が新しいトランザクションとして書き込まれます。履歴にはそれが並ぶので、何がいつ変わったかを誰でも確かめられます。
アーカイブズの言葉で
監査証跡。あるいは、記述そのものの保管の連鎖(チェーン・オブ・カストディ)。
比喩が当てはまらない点
記述が変わったことは記録しますが、なぜ変えたかは記録しません。理由は記述の中に書いておく必要があります。
触っても大丈夫?
読むだけの表示です。
InterPARES の定義
chain-of-custody

利用とアクセス

データトークン

一つの資産を利用するための引換券。

画面での表示
… でアクセス… をウォレットに追加
ふだんの言葉で
資産をダウンロードしたり計算にかけたりするとき、ウォレットはその資産のデータトークンを一枚手に入れ(多くは無料)、それを差し出します。その受け渡しが、利用が認められたことの記録になります。
アーカイブズの言葉で
閲覧室が発行する請求票。一回の出納を認め、利用があったことの記録として残ります。
比喩が当てはまらない点
請求票と違い、使う前に別のアカウントへ渡せます。また、発行と受け渡しのすべてが公開の記録に残ります。
触っても大丈夫?
データトークンを持っているだけでは何も起きません。利用を確認したときにだけ使われます。
InterPARES の定義
access

Compute-to-Data(データのもとで計算する)

データのある場所で分析を行い、結果だけを持ち出す仕組み。

画面での表示
コンピュートコンピュートジョブコンピュート環境
ふだんの言葉で
承認されたアルゴリズムとデータセットを選びます。分析は公開者の側で動き、あなたが受け取るのは出力ファイルだけです。データセットそのものは渡りません。
アーカイブズの言葉で
非公開資料の代行閲覧。アーキビストが閉架の資料を利用者に代わって確認し、承認した抜粋だけを渡すこと。
比喩が当てはまらない点
代行するのは人ではなくプログラムです。どのアルゴリズムを許すかを公開者が前もって決めた範囲を超えて、判断をすることはありません。
触っても大丈夫?
ジョブの開始はトランザクションなので、確認を求められます。結果はプロフィールの画面に表示されます。
InterPARES の定義
cloud-computing

アルゴリズム

公開された分析の手順。テキスト抽出や OCR など。

画面での表示
アルゴリズム
ふだんの言葉で
アルゴリズムも資産の一種です。どのアルゴリズムを自分のデータセットに対して動かしてよいかは、データセットの公開者が決めます。
アーカイブズの言葉で
資料に適用する、文書化された手順。抽出の方法や索引作成の手順のように、使う前に承認されるもの。
比喩が当てはまらない点
毎回自動で、同じように動きます。コードを確かめられるのは、公開者が共有を選んだ場合だけです。
触っても大丈夫?
アルゴリズムを見て回るだけなら、読むだけの操作です。

Docker イメージ

アルゴリズムが動く、ひとまとめにされたソフトウェア環境。

画面での表示
Docker イメージ
ふだんの言葉で
Docker イメージは、OS・ライブラリ・ツールを固定します。そのため、アルゴリズムはどこで動かしても同じ振る舞いをします。
アーカイブズの言葉で
媒体を読むのに使った機器の正確な仕様。結果を再現できるように記録しておくもの。
比喩が当てはまらない点
名前だけでは中身は保証されません。再現できるかどうかは、そのイメージが入手できる状態で残るかにかかっています。
触っても大丈夫?
表示のみです。

土台の仕組み

ブロックチェーン

多くの写しが互いに照合し合う登録簿。

画面での表示
ふだんの言葉で
参加者の全員が、同じ記入の一覧を持っています。新しい記入は写しどうしが一致したときにだけ加わり、古い記入をこっそり書き換えることはできません。
アーカイブズの言葉で
多くの保管機関が同時に写しを持ち、それぞれが新しい記入を確かめてから受け入れる登録簿。
比喩が当てはまらない点
記入があったこと、そして改変されていないことは示せます。記入された内容が真実かどうかは示せません。
触っても大丈夫?
直接触ることはありません。触るのはサイトとウォレットです。
InterPARES の定義
blockchain

中村 覚(東京大学、UBC 滞在中)による個人の記録です。Clio-X や Ocean Protocol の公式サイトではありません。