どこに何が記録されるか(チェーンの上と外)
Clio-X に資料を登録すると、記録は 2 か所に分かれて残ります。 ひとつはブロックチェーン(ここでは Sepolia)の上です。これをオンチェーンと呼びます。 もうひとつはチェーンの外のサーバで、オフチェーンと呼びます。
先に結論を書きます。 チェーンに載るのは「誰が、いつ、何を登録し、誰が使ったか」の記録と、資料の目録にあたる情報です。 資料の本文や画像そのものは、チェーンには載りません。
チェーンの上にあるもの
チェーンに書いたものは、誰でも読めます。そして消せません。 直したいときは、新しい記録を上から重ねます。古い記録は履歴として残ります。
- 登録証(data NFT)と、その持ち主のウォレットのアドレス。資料ごとに 1 つ作られます
- 利用券(datatoken)と、無料か有料かの設定
- 目録カード(DDO)。題名、説明、作成者、ライセンス、提供サーバの住所などが入ります。 暗号化して載せることも、そのまま載せることもできます
- 目録カードの指紋(ハッシュ)。カードが後から書き換えられていないことを確かめられます
- 目録カードを開ける Node の住所。暗号化したカードは、登録に使った Node にしか開けません
- 利用の記録。誰が、いつ利用券を使ったか
- 利用を許す相手の名簿。機関どうしで名簿を共有する仕組みを使う場合です
チェーンの外にあるもの
- 資料の本文・画像。機関のサーバや、IPFS・Arweave のようなファイルの置き場所にあります。 目録カードには置き場所が書かれています。ただし、ふつうは暗号化されていて、Node にしか読めません
- Node の鍵。Node のサーバの中にあります。 これを失うと、暗号化した目録カードもファイルの置き場所も、開けなくなります (登録に使ったサービスが無くなったとき)
- 検索用の索引。Node がチェーンを読んで作った写しです。消えても、チェーンから作り直せます
- 計算の実行と結果。Node の上で行われます。チェーンに残るのは「利用した」という記録だけです
- ポータル(画面)。上の記録を読んで表示しているだけで、記録の正本は持っていません
IPFS は名前が似ていますが、ブロックチェーンではありません。 ファイルの中身から住所を決める、ファイルの置き場所の仕組みです。 誰も保管しなくなれば、ファイルは取り出せなくなります。
実例: 校異源氏物語
試用サイトには「校異源氏物語」の各帖(54 件)が並んでいます。 これは、Ocean の仕組みのうちチェーンの部分だけを使って登録した実験です。
- 目録カードは暗号化せずにチェーンに載せています。 たとえば「てならひ(第 53 帖)」のカードは、2026 年 8 月 27 日の取引 0x17a6…0840 の中身として、全文が読めます
- 提供サーバの欄には、サーバではなく本文の IPFS の住所(
ipfs://…)を書いています - 本文は IPFS にあり、Filebase という保管サービスが保管しています
このため、チェーンの記録だけを読めば、Node がなくても誰でも本文にたどり着けます。 その代わり、ポータルからはダウンロードも計算もできません。 ポータルは提供サーバ(Node)を通して配ることを前提にしているからです。 ポータルの資料ページには、そのことと本文へのリンクを表示しています。
アーキビストとして気をつけたいこと
- 目録カードを暗号化せずに載せる場合、個人情報や非公開の情報を書かないでください。 チェーンに一度書いたものは、消せません
- 暗号化して載せる場合は、Node の鍵を失わないことが、資料を読み続けるための条件になります
- 本文の置き場所は、チェーンとは別に保管の手当てが要ります。チェーンは中身を保管しません